
空室対策にも役立つ!「残置物の処理等に関するモデル契約条項」の解説とメリット
高齢化が進む日本では、賃貸住宅においても高齢の単身入居者が増加しています。
それに伴い、物件内で孤独死が発生するリスクも無視できなくなっています。
孤独死が発生した物件は、心理的瑕疵のあるいわゆる「事故物件」として扱われる可能性があり、賃貸経営や管理業務に大きな影響を与えます。
このコラムでは、事故物件に関する基礎知識から、実際に起きたときの影響、管理会社・オーナーとして取り入れたい対策までをわかりやすく整理しました。
事故物件とは、過去に事件や自殺、孤独死など、入居者に心理的な不安を与えるような出来事があった不動産物件を指します。
法律で明確な定義はありませんが、宅建業法の告知義務に関わるため、入居希望者に説明する必要がある場合があります。
特に孤独死については、発見の遅れや部屋の状況によって事故物件と判断されるケースが増加傾向にあります。
事故物件に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
≪https://www.homenet-24.co.jp/media/mimamori/a34≫
孤独死が発生すると、通常の原状回復では済まないケースも多くあります。
発見までに時間がかかれば、体液や臭気が床や壁にまで染み込み、特殊清掃や内装材の一新が必要になります。
その費用は数十万円から場合によっては百万円を超えることもあり、オーナーにとっては大きな負担です。
孤独死があったことを次の入居者に伝えなければならない場合、心理的瑕疵物件として告知義務が発生します。
この義務があることで、入居希望者の候補数は大幅に減少し、家賃を下げてもなかなか決まらないというケースも珍しくありません。
結果的に空室期間が長引き、収益にも影響します。
孤独死が起きた部屋の隣や上下階の住民から、「臭いがした」「異変に気づいていたがどうすればよかったのか」など、さまざまな問い合わせや苦情が入ることがあります。
管理会社としては、情報の整理や対応の調整、場合によっては説明会なども必要になることもあり、通常業務以上の負担を抱えることになります。
特殊清掃の費用は、状況により大きく変動しますが、10万〜50万円程度が一般的な目安です。
ただし、床材や壁紙の交換、消臭工事などが必要になると、それ以上の金額になることもあります。
また、遺品整理や残置物撤去なども必要な場合、追加費用がかさみます。
一度事故物件のレッテルが貼られると、同じ建物の他の部屋にも影響を及ぼしやすくなります。
建物全体の印象が悪化すると、資産価値そのものの評価が下がることもあるため、長期保有を前提とした運用を行っているオーナーほど大きな不安を抱える傾向にあります。
事故が発生した際、まず最初に現場対応を求められるのは、物件を預かる管理会社です。
ご遺体の発見や警察・清掃業者とのやりとり、近隣住民への説明など、日常業務とは異なる繊細で負担の大きい対応が求められます。
時には感情的な場面に立ち会うこともあり、スタッフへの心理的影響が残ることも少なくありません。
また、事故後の入居者募集にも負担がかかります。
オーナーとの家賃交渉や、内見者への説明義務など、営業活動にも気を遣う場面が多くなります。
「できるだけ早く決めたいが、事故のことは伝えなければいけない」という板挟みのなかで、慎重な対応が必要です。
INQUIRY