
ひとり歩き認知症高齢者の安全を支える自治体支援の取り組みとは
ひとり歩き認知症高齢者の生活において、安全な外出を確保することは非常に重要な課題です。
認知症が進行すると、認知機能が低下し、特に中度から重度の段階では、外出中に迷子になったり、道に迷って不安定になることが増えます。
そのため、外出時における認知症高齢者の安全を守るためには、見守り体制をしっかりと整備し、家族や支援者、自治体といった協力者と連携することが欠かせません。
GPS端末は、その見守りの一環として非常に有効なツールとなりえます。
本コラムでは、認知症高齢者が普段通りの生活を送ることを尊重し、外出時の安全を確保するために、GPS端末の選び方や持たせ方、支援者との協力体制について、詳細に解説します。
認知症高齢者がひとりで外出することは、何も珍しいことではありませんが、適切な見守りがない場合、前回のコラムにあるような(認知症高齢者のひとり歩きと事故リスク~事例から学ぶ対策と備え方~)事故や行方不明につながるリスクが高まります。
特に、認知症が進行することで、本人は自分の居場所を把握できなくなることが多く、道に迷ったり、予期しない場所にたどり着いてしまうことがあります。
このような状況において、GPS端末は非常に有効な手段として機能します。
GPS端末を利用することで、以下のようなメリットがあります。
〇位置情報をリアルタイムで確認できる
家族やケアマネージャーがいつでも正確な位置を確認でき、迅速な対応が可能です。
〇外出時の安心感を家族が得られる
どこにいるのかを追跡できるため、家族は不安なく見守りを行えます。
〇迅速な捜索が可能になる
行方不明になった場合でも、GPS端末を活用することで早期に発見できる可能性が高くなります。
ただし、GPS端末の運用には工夫が必要です。
単に端末を持たせるだけでは、端末を紛失したり、忘れてしまったりするリスクもあるため、持たせ方や使い方に注意が必要です。
GPS端末の運用を家族だけで行うのは、物理的にも精神的にも負担が大きいため、支援者と協力して運用する方法を検討することが重要です。
特に、ひとり歩き認知症高齢者の見守りには、家族だけではなく、ケアマネージャーや地域の支援ネットワークとの連携が必要不可欠です。
・介護施設のスタッフ
デイサービスやショートステイなどの施設利用時に、GPS端末の充電や管理を依頼できます。
・ケアマネージャー
ケアプランの中で、どのようにGPS端末を持たせるか、またどの支援を受けることができるかを相談できます。
ケアマネージャーは、本人の状態に応じて最適な方法を提案してくれるでしょう。
・地域包括支援センター
地域での支援ネットワークを活用し、必要なサービスや協力者を紹介してもらうことができます。
・近隣の協力者
近所の方に「見守り協力」をお願いし、何か異常があればすぐに家族に連絡をもらう体制を作ることが有効です。
具体的な役割分担をすることで、よりスムーズにGPS端末の運用ができます。
例えば、家族が位置確認と定期的な充電を行い、ケアマネージャーが持たせ方のアドバイスを行い、介護スタッフが施設利用時の端末チェックを担当するなどです。
GPS端末をひとり歩き認知症高齢者に持たせる際、その進行度に応じた持たせ方を考慮することが重要です。
本人が違和感を感じず、かつ、端末を適切に管理できる方法を工夫することで、より効果的に見守りを行うことができます。
【軽度の場合】
軽度の認知症の場合、本人が普段使っているスマートフォンや日常的に持ち歩く物に取り付ける方法が有効です。
例えば、スマホ型やキーホルダー型のGPS端末を活用し、日常的に使用するアイテムとして扱います。
また、「見守りアプリ」をスマートフォンに導入することで、家族が簡単に位置情報を確認できるようになります。
【中度の場合】
中度の認知症高齢者の場合、より工夫が必要です。
例えば、小型のGPS端末を靴やカバンに固定する方法や、服やベルトに装着するタイプの端末を選ぶことで、本人が違和感なく持ち続けることができます。
これらの端末は、目立ちにくく、普段の生活に支障をきたすことなく使用できます。
【重度の場合】
重度の認知症が進行している場合、本人が意識せずに端末を外してしまうことがあります。
そこで、小型の端末を使用し、GPS端末を収納できる靴の用意も有効です。
また、時計型の端末は装着感が自然であり、日常的に着用することができるため、重度の認知症の方にも適しています。
さらに、充電が必要な場合は、毎日の生活の中で自然に充電できる仕組みを整えることが重要です。
例えば、家族が毎日の生活の中で気づいたときに充電できるタイミングを作ることで、バッテリー切れを防ぎます。
GPS端末を活用することで、安全に外出を支援するだけでなく、認知症高齢者の自立を促す手助けにもなります。
認知症高齢者が普段の生活に支障をきたさずに自分のペースで外出できることは、尊厳を保ちながら社会参加を促進する大切なポイントです。
GPS端末が支える「自立支援」について、どのように取り組むべきかを考察します。
認知症の進行に伴い、高齢者は自分で日常的な判断を下すことが難しくなることがあります。
しかし、適切な支援があれば、自分で外出することができる場合もあります。
GPS端末はその一助として、以下のような役割を果たします。
〇自己管理能力の維持サポート:GPSを活用することで、外出時の迷子や不安感を軽減し、本人が自分で判断して行動する力をサポートできます。
〇外出の自由を確保: GPS端末があれば、家族や支援者は遠隔で本人の位置を確認できるため、外出の自由を守りつつも安全が確保されます。
自立支援には生活環境の調整も不可欠です。
GPS端末があれば、見守りの手段を取りながらも、できる限り本人が自分のペースで生活を続けられる環境作りが進められます。
安全で快適な外出を支援するために、上記3.で紹介したような進行度による本人が利用しやすい装着方法の工夫も必要です。
認知症高齢者にGPS端末を持たせる際には、充電頻度や機能性をしっかりと考慮することが重要です。
これにより、家族や支援者の負担を軽減し、認知症高齢者本人もストレスなく安全に外出できるようになります。
以下の機能を備えたGPS端末を選ぶことで、より安心して使い続けることができます。
充電頻度 | 認知症高齢者が日常的に使うことを考えると、充電頻度が低いタイプ(週1回の充電で済むなど)が理想的です。 頻繁な充電が必要だと、本人や家族にとって負担になる場合があります。 |
位置情報の精度 | 高齢者が屋外や室内で迷子になった場合でも、GPS端末が確実に位置情報を把握できることが重要です。 精度が高いものを選ぶと、いざという時に迅速に対応できます。 |
防水・耐久性 | 高齢者が外出中に端末を落としてしまったり、雨に濡れてしまったりすることも考慮し、防水性や耐久性のある端末を選びましょう。 これにより、端末の故障リスクを減らせます。 |
アラート機能 | 予め設定したエリアを超えた場合に警告を受け取れるアラート機能が付いているといいでしょう。 外出先でのリスクを早期に把握でき、迅速に対応が可能です。 |
使いやすいデザイン | 認知症高齢者が違和感なく着用できる端末を選びましょう。小型で軽量、そして目立たず装着できるデザインのものが望ましいです。 例としては、時計型や靴に埋め込む型などがあります。 |
認知症高齢者の外出時の安全を確保するためには、GPS端末を適切に選び、認知症の進行度に合わせた持たせ方に工夫を凝らすことが大切です。
家族だけでなく、支援者の協力体制を強化することで、認知症高齢者が安全に外出できる環境を整えることが可能です。
本人の尊厳を守りつつ、安心して生活できるようにサポートすることが、私たちの社会全体の課題です。
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