1. HOME
  2. お役立ち情報
  3. 死後事務委任契約とは?万が一に備えた終活

死後事務委任契約とは?万が一に備えた終活

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
死後事務委任契約とは?万が一に備えた終活

近年、「生前整理」や「終活」など、人生の終わりを考えた準備についてニュースなどでも取り上げられることが増えています。
エンディングノートを書いたり、遺書を書くといった取り組みが広く知られており、残りの人生をより良く生きるためや、自分の気持ちを整理するためにも効果的です。
ですが中には、自分の死後頼れる人がいないと不安を抱える方もいるので、本コラムでは終活の一つとして「死後事務委任契約」について説明します。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、自分が死んだ後の様々な手続きや事務を、あらかじめ信頼できる人に委任する契約のことです。
例に挙げると、葬儀に関すること、行政手続きに関すること、生活に関することなど多岐にわたって委任できます。


遺言書と何が違うの?

死後にその遺志を反映させるために生前に準備できることとしてよく知られているものには、「遺言書」があります。
遺言書では相続人や遺言執行者、相続分、遺産分割の方法などを指定する効力があります。
遺言で定めることができる事項は、民法で定められており、それ以外の事項を遺言に記載しても、法的な拘束力はありません。

死後事務委任契約がおすすめな人

  • 家族に負担を掛けたくない
  • 家族や親族との関係が良好ではない
  • 内縁関係や事実婚
  • 一人暮らしの高齢者で、家族や親族が遠方に住んでいる
  • 頼れる人や身寄りがいない
  • 自分の遺志を確実に実行したい
  • 自分の死後に不安を感じている

死後事務委任契約を頼める人

  • 家族: 配偶者、子供、兄弟姉妹など。
  • 親族: 親戚、叔父・叔母など。
  • 友人: 長年信頼している友人など。
  • 専門家: 弁護士、行政書士、社会福祉士、社会福祉協議会など。

死後事務委任契約を考える際は、「見守りサービス」も合わせて検討されることもおすすめです。
見守りサービスは、電話やセンサーなどを用いて一人で暮らす高齢者の様子をモニタリングできます。
高齢で一人暮らしされる方やその家族にとっては、見守りサービスによる高齢者の日々の生活の安心と安全の確保も一案として考えておくことが良いでしょう。

死後事務委任契約の委託内容

死後事務委任契約を結ぶことでできることについて、東京弁護士会によると以下のようなことが挙げられます。

葬儀に関すること

  • 遺体の引き取り先
  • 葬儀方式、埋葬方法、供養方法などの指定

行政手続きに関すること

  • 死亡届の提出
  • 運転免許証や健康保険証の返還
  • 年金の受給資格の抹消
  • 固定資産税など税金の支払い

生活に関すること

  • 生前利用したサービス(病院・介護施設)に関する料金精算
  • 賃貸不動産の契約解除や明け渡し手続き
  • 水道光熱費など公共料金の支払いや解約
  • SNS等のアカウント削除
  • パソコンや携帯電話の個人情報処理
  • ペットの環境整備

委託できないこと

死後事務委任契約は「依頼者の死後に行う内容」を委任するためのものです。
そのため、生前の財産管理など身の回りのことについては委任することができません。
また、相続に関する内容については「遺言書」に記載することで法的効力を発揮します。
以下の内容については委託できないため、注意が必要です。

  • 相続に関する事項
  • 生前の財産の管理
  • 生命保険の受取請求
  • 医療行為に関する決定
  • 契約の締結

 



死後事務委任契約のメリット・デメリット

死後事務委任契約を結ぶメリット・デメリットについて説明します。

メリット

遺志決定の自律

  • 死後も自分の遺志を残すことができる
死後に関する事項を詳細に決定し、契約書に明記することで死後も自分の遺志を残すことができます。
  • 家族への負担軽減ができる
具体的な指示があることで、家族の感情面での負担を軽減し、冷静に手続きを進めることができます。

安心・公平公立な手続き

  • 法的な問題や手続きミスを防ぐことができる
専門家に委任する場合、契約に基づき手続きを適切に進めることができます。

財産管理の安全性

  • 不正の防止ができる
委任契約書に基づき財産管理を行うことで、死後の財産の不正利用や紛失・盗難のリスクを軽減できます。



デメリット

費用負担

  • 契約費用が発生する
預託金(※)、公証人への手数料、委任者の報酬が発生します。
(※)預託金…葬儀費用、病院への支払いといった、受託者の事務処理に必要な費用を予め預けた分の金額
  • 継続的な費用が発生する
委任期間が長期に渡る場合、継続的な費用が発生することがあります。

受任者との信頼関係の構築

  • 受任者の選定が必要になる
信頼できる受任者を見つけることが重要であるため、慎重な選定が必要です。

契約内容の解釈不一致

  • 解釈の相違
契約内容があいまいな場合、委任者と遺族の間で解釈の齟齬が生じるなど、より死後の手続きが複雑化してしまう可能性があります。


対処方法

各メリットとデメリットを照らし合わせ、バランスをとる必要があります。
また、契約内容をできるだけ具体的にすることで、手続きのトラブルを防止し、スムーズに契約を履行することができます。
弁護士や司法書士などの専門家へ相談することで、契約内容を一緒に検討することも良いでしょう。
契約内容は定期的に見直すことで、自分の遺志と相違がないようにすることが大切です。


契約の手続き・費用

死後事務委任契約の流れ

死後事務委任契約は、契約の成立に一定の様式が要求されていません。
そのため口頭による合意でも契約を成立させることはできますが、委任者の生前遺志をしっかりと残すために書面で契約することが重要です。
また、私文書として契約書を作成する場合は実印を押印し、印鑑証明書を添付することがおすすめです。
以下は死後事務委任契約を結ぶ流れについての一例です。

1.委任する相手を決める
  ※委任先が専門家の場合、費用がかかります。
2.委任内容を決める
3.公証人に契約内容について相談する
4.公証役場で公正証書を作成する
  ※公正証書の作成に費用がかかります。
  ※本人確認書類を持参する必要があります。
5.契約書を保管する


公正証書の作成に必要な書類

自治体・公証役場によって異なりますので、お住まいの公証役場や公証センターへお問い合わせください。
以下は一般的な必要書類の一例です。
  • 委任者の印鑑証明書(発行後3か月以内)
  • 実印受任者の印鑑証明書(発行後3か月以内)と実印


費用

死後事務委任契約に係る費用は、主に生前に支払う費用と、死後に発生する手続きに対する利用料に分けられます。


生前に支払う費用(※死後事務委任支援協会を例にした諸費用です。)

  • 公正証書遺言原案作成費用:55,000円
遺言書の起案と公証役場との打ち合わせを含みます。
別途、証人2名の費用(1名あたり15,000円)が必要です。
公証役場への支払いは財産価格に応じて別途発生することがあります。
財産価格…契約者(委任者)が保有する財産の価値を金額に換算したもの

  • 死後事務委任契約書原案作成費用:44,000円
死後事務委任契約書の起案と公証役場との打ち合わせを含みます。
公証役場への支払いが別途発生し、約12,000円前後となります。

  • 任意後見契約書原案作成費用:44,000円
公証役場への支払いが別途発生し、約40,000円前後となります。
死亡届を記載していただける親族等がいる場合は、任意後見契約は任意となります。

参考例:合計金額:282,000円(税込)
内訳:
遺言書原案作成費用:55,000円
死後事務委任契約書原案作成費用:44,000円
任意後見契約書原案作成費用:44,000円
証人費用(2名分):33,000円
公証役場への支払い:106,000円


死後に発生する手続きに対する利用料(※死後事務委任支援協会を例にした諸費用です。)

  • 死亡時の病院への駆けつけ及び遺体の引取り:88,000円 
  • 葬儀社との打ち合わせ(喪主の代行):77,000円 
  • 契約時に指定された方への連絡:1,100円/件
  • 医療費等の清算、病室の明け渡し:22,000円/件
  • 埋葬・納骨の代行:110,000円
  • 役場等への届出、返却書類の手続:5,500円/件
  • 銀行・証券会社・携帯電話等回線等の払い戻し、解約手続:22,000円/件
  • 公共料金等の支払い:5,500円/件
  • 遺品整理・不動産売却(税務申告含む):実費清算(要見積もり)
  • 家屋の明け渡し業務:55,000円

※上記の利用料は代表的な一例であり、依頼内容や地域によって価格が変わることがあります。
契約を結ぶ前に見積を出してもらうことが良いでしょう。
出典:一般社団法人死後事務委任支援協会 https://sigozimu.com/price/



費用の支払い方法

  • 遺産清算方式
死後事務委任契約と併せて遺言書を作成し、委任者(故人)の財産から死後事務にかかった費用を清算する方式です。
高額な契約金や預託金を事前に預ける必要がありません。

  • 預託金清算方式
死後事務にかかる費用を予め受任者等に預けておく方式です。
死後事務にかかる費用は預託金で清算を行います。


受任者の義務・報酬

死後事務委任契約を受任した人(契約を履行する人)は契約に則り、手続きを進める必要があります。

受任者の義務

  • 善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)を負います。(民法第644条)
  • 委任事務の経過や結果について、相続人に報告する義務があります。(民法第645条)


報酬の定め方

固定報酬型

契約時に、受任者が死後に行う業務の範囲を明確にし、その業務に対して一定額の報酬を定める方式です。
一般的な目安として、30万円〜100万円程度が設定されることが多いです。

業務ごとの報酬型

各業務ごとに報酬を設定し、遂行した業務に応じて支払う方式です。

遺産清算方式(後払い)

契約者の財産から死後に清算する方式です。
遺言書とセットで作成し、遺言執行者として別の受任者を指定することが一般的です。


報酬に関する注意点

  • 事前に公正証書で報酬を明記する
死後事務委任契約は、通常「公正証書」で作成されるため、報酬についても明確に記載することができます。

  • 契約時の預託金の有無
生前に一定額を受任者へ預託するケースもあります。
特に、遺産が少ない場合や、後払いが難しい場合は、契約時に預託金を設定することが良いでしょう。

  • 実費と報酬を区別する
受任者の報酬とは別に、葬儀費用や遺品整理費用などの「手続きにかかる実費」があります。
報酬だけでなく、契約時に実費の支払い方法も確認することが大切です。



まとめ

死後事務委任契約は、身寄りのいない方や、家族に負担を掛けたくない方にとって、安心して最期を迎えるための重要な仕組みです。
この契約を通じて、葬儀・納骨・遺品整理・各種手続きなどを信頼できる第三者に託すことができ、死後の事務処理が円滑に進むようになります。
契約を検討する際には、自身の希望を明確にし、信頼できる受任者を選ぶことや、公正証書によって法的な確実性を高めることが大切です。

死後の不安を軽減し、自分らしい最期を迎えるためにも、早めに計画を立て、適切な準備を進めることをおすすめします。
また、死後事務委任契約で委託が難しい生前に関しては、見守りサービスを利用することも効果的です。
弊社の見守りサービス「HNハローライト」では異常発生時に警備員による安否確認ができるため、一人暮らし高齢者の方や、賃貸物件で高齢者を受け入れる際に活用していただいています。
下のリンクからお気軽にお問い合わせください。




ホームネット株式会社

著者情報

ホームネット株式会社 Sugiyama.M

2024年に新卒で入社。

生活に欠かせないインフラとして住まいを支えるサービスの提供、

持続可能な社会の構築に寄与するという企業理念に惹かれ入社を決意。

憧れる先輩、上司に揉まれながら力戦奮闘してます。

 



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

INQUIRY

お問い合わせ

緊急通報サービス

位置情報提供サービス(GPS)

健康診断予約代行サービス

見守りサービス

コールセンターサービス

定期巡回・随時対応サービス
(スマケア)

家財整理サービス

そのほかに関するお問い合わせ

ページTOP