
認知症と診断されたら ~これからの暮らしに向けた準備~
認知症基本法が2024年1月に施行され、この法律では、国や地方公共団体は、認知症施策を総合的かつ計画的に策定し、実施する責任があるとされています。
認知症基本法について詳しくは☞(https://www.homenet-24.co.jp/media/place/a21)
そこで、認知症の当事者や家族、有識者らで計画内容を議論し、2024年12月3日、認知症施策推進基本計画が閣議決定されました。今回はこの基本計画について詳しく解説していきます。
全ての認知症施策に通ずる考え方として、基本法にある7つの基本理念を掲げ、その具体的な施策として12 の基本的施策を定めています。認知症施策の実施にあたり、共生社会の実現を目指し、これらの基本理念・基本的施策に基づき、認知症の人と家族等とともに、具体的な取組を立案、実施、評価することとされています。
またこの基本計画の計画期間は概ね5年間となっており、5年目を目途に見直しの検討をすることとしています。
施策の目標:
基本的人権の尊重を理解し、「新しい認知症観」を普及させるため、認知症の人が発信し、国民の理解を深める施策の実施。
施策の目標:
認知症の人の声を聞き、社会的障壁を除去して尊厳を保ちながら希望を持って暮らせる環境の整備。
施策の目標:
認知症の人が孤立せず、社会的支援や多様な社会参加の機会を得て、生きがいや希望を持って暮らせるようにする施策の実施。
施策の目標:
認知症の人が自らの意思で生活できるよう、意思決定支援と権利保護を図る施策の実施。
施策の目標:
認知症の人が地域に関わらず質の高いサービスを利用できるよう、サービス提供体制と連携体制を整備し、人材育成を進める。
施策の目標:
認知症の人や家族が必要な支援を受けられるよう、相談体制を整備し、地域づくりを推進する。
施策の目標:
認知症の研究を推進し、その成果を国民が享受できるようにする施策の実施。
施策の目標:
すべての国民が科学的知見に基づく予防に取り組み、認知症の人が早期に必要な対応を受けられるようにする施策の実施。
上記に掲げた共生社会の実現に関わる課題の把握と解決に向けた調査研究を推進する。
上記1~8に掲げた施策のうち、多様な主体の連携に係るものの一部再掲されている。
後述する推進体制等に掲げる国と地方公共団体の連携を図るための支援を行う。
世界に向けて日本の高齢化・認知症対策を発信し、国際連携を強化する。
共生社会の実現には、新しい認知症観を持ち、認知症の人と家族と共に施策を進め、国や地域が連携することが重要とされ、また、認知症の人が新たな技術を活用し、生活の質を向上させることを重要としています。
そのため、基本的な考え方として、以下の4つの重点目標を設定しています。
重点目標1 | 国民一人一人が「新しい認知症観」を理解していること |
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重点目標2 | 認知症の人の生活においてその意思等が尊重されていること |
重点目標3 | 認知症の人・家族等が他の人々と支え合いながら地域で安心して暮らすことができること |
重点目標4 | 国民が認知症に関する新たな知見や技術を活用できること |
重点目標の達成には、認知症施策の効果を評価するためのKPI(関連指標)を設け、その評価に基づいて施策を見直すことが重要とされています。
KPIはプロセス指標、アウトプット指標、アウトカム指標の3段階で設定され、今期の計画では、地方公共団体等の施策の進捗状況や認知症の人や家族の認識を多面的に把握し、共生社会の実現に向けた施策の効果を評価することとされています。今後は、具体的な調査方法や評価の在り方を検討する必要があるとされています。
推進体制としては、国と地方公共団体が連携し、地域の実情に応じた認知症施策を総合的に推進することが求められています。また、この推進体制は、認知症に関する状況の変化や施策の効果を評価し、少なくとも5年ごとに計画を見直し、必要に応じて変更する必要があります。地方公共団体も、国の変更内容を考慮し、必要に応じて計画を変更することが重要です。
認知症施策推進本部を中心に、政府全体で基本計画の実施を推進し、関係行政機関が施策の総合調整と評価を行う。
地域の実情に即した多様な取組を地方公共団体が実施。
都道府県は国の基本計画を基に都道府県計画を策定、市町村は都道府県計画を基に市町村計画を策定。
都道府県は市町村計画の支援・助言を行い、調整を担当。
国と地方公共団体が連携し、認知症施策を総合的に推進。
国は地方公共団体の取組状況を把握し、参考となる取組を共有。
地方公共団体内の各担当部局が緊密に連携し、総合的に取組を推進。
認知症施策の立案、実施、評価に認知症の人と家族等の参画が重要。
行政職員が地域で認知症の人・家族等と対話し、理解を深める。
計画策定時に認知症の人や家族等、関係者の意見を広く聴取。
都道府県計画、市町村計画は他の関連計画と調和を保つ。
この認知症施策の計画は、認知症の人々とその家族を支援するための多角的なアプローチが取られています。共生社会の実現を目指し、認知症の人々が尊厳を持って生活できる環境を整えることに重点を置いています。教育と啓発活動を通じて、国民全体の認知症に対する理解を深める取り組みが含まれており、バリアフリー化や社会参加の機会の確保など、認知症の人々が自立して生活できるような具体的な施策が盛り込まれています。また、意思決定支援や権利保護に関する施策が明確に示されており、研究の推進とその成果の普及を通じて、認知症に関する新たな知見や技術を活用することが奨励されています。この計画が実行されることで、認知症の人々とその家族がより安心して生活できる社会が実現することを期待しています。
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