
自治体が直面する見守り運用の現実|社会福祉法の改正から高齢者支援の課題を見る
少子高齢化が急速に進む中、賃貸住宅の現場でも「入居中の高齢化」への向き合い方が問われるようになってきました。
「契約時は若かった入居者が、長年の入居中に高齢化してしまった」「もしものことがあったらどうしよう」そんな不安を感じている管理会社も多いのではないでしょうか。
高齢の入居者が増えるにつれて、孤独死のリスクや体調急変時の対応、親族との連絡が取れないケースなど、現場で向き合う課題も多様化しています。
特に、介護や医療の専門知識までは持っていない不動産会社様にとって、日々の見守りやトラブルの予防をすべて自社で担うのは、簡単なことではないはずです。
この記事では、入居中に高齢化した入居者への対応方法や、そうしたリスクを軽くする「見守りサービス」の導入方法についてご紹介します。
契約時には問題のなかった入居者でも、10年、20年と時間がたつ中で、少しずつ身体機能が低下し、気づかないうちに社会的に孤立してしまうことがあります。
こうした変化は少しずつ進むものなので、管理会社が気づきにくいのも無理はありません。ただ、そのまま見過ごしてしまうと、ある日突然孤独死などのトラブルに直面してしまうケースも少なくないのです。
不動産管理会社の本来の業務は、建物の維持管理や家賃管理、契約手続き、入居者間のトラブル対応などであり、入居者の健康状態を見守ることは、本来の業務範囲には含まれていません。
とはいえ、室内で体調が急変したり事故が起きたりすれば、第一報を受けるのはやはり管理会社です。
「漏水の確認で室内に入ったら、入居者が倒れていた」「異臭の通報を受けて、警察の立ち会いのもと鍵を開けた」
こうした場面に、否応なく対応してこられた管理会社も多いのではないでしょうか。
一般社団法人 日本少額短期保険協会の「孤独死現状レポート」によると、
孤独死が発生してから発見されるまでの期間は、「4~7日」「8~14日」「15~30日」「31日以上」を合わせた3日以上のケースが、全体の6割を超えているといわれています。
発見が遅れるほど、ご遺体の状態は悪化し、室内に染み付いた異臭やダメージも大きくなってしまいます。
その結果、数ヵ月におよぶ特殊清掃やリフォームが必要になり、その間の賃料収入が入らなくなったり、
物件全体の資産価値が下がってしまう(いわゆる事故物件化)ことにもつながりかねません。
だからこそ、早い段階で異変に気づける体制を整えておくことが、こうした事態を防ぐ一歩になります。
入居者の高齢化が進む背景と、そこから生まれる課題について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
日本の人口動態を見ても、高齢の入居者が増えていくのは、一時的な話ではなさそうです。
国土交通省の資料によると、2030年には「単身高齢者世帯」が約800万世帯に迫ると見込まれています。
以前は家族と同居することが一般的だった高齢世代の方々も、未婚率の上昇や核家族化の影響などから、賃貸住宅でひとり暮らしをするケースが増えてきています。
賃貸管理を続けていく上で、単身高齢の入居者との関わりは、これから避けて通れないテーマになっていきそうです。
なぜ入居中の高齢化は見落とされやすいのでしょうか。そこには賃貸管理の「構造的な問題」があります。
長年同じ物件に住み、家賃の滞納もなく、設備トラブルの連絡も特にない
——いわば「手のかからない、優良な入居者」ほど、実は管理会社との接点が少なくなっていきます。
更新手続きも郵送や電子契約で完結してしまうため、管理会社としては「入居者が今どのような健康状態なのか」「足腰が弱っていないか」を知る手段がなかなかありません。
また、入居者ご自身も、契約時から状況が変わっていても、手間を避けて情報を更新せずに、そのまま更新手続きを済ませてしまうことも考えられます。
保証人がすでに亡くなっていたり、入居者が携帯電話の番号を変えていて連絡が取れなかったりすることも、決して珍しくありません。
近年、個人情報の取り扱いは以前よりも慎重になってきています。
そのため、オーナーなどが「最近あの部屋の方を見かけないが、大丈夫だろうか」と気にかけて、役所や地域包括支援センターなどに問い合わせても、思うように情報共有が進まないケースも少なくありません。
事前に明確な仕組みや同意がない限り、入居者の介護状況などの現状を共有してもらうのは難しいというのが、実情です。
賃貸のご担当者様が日々の業務の中で、高齢の入居者へのアプローチを「対応しにくい」と感じてしまう理由には、次のようなものがあります。
前述の通り、トラブルのない入居者とは、なかなか接点が生まれません。
日々、退去立ち会いや新規募集、クレーム対応などの業務に追われている現場の方にとって、「今のところ問題が起きていないお部屋」に自発的に連絡を入れる、
という優先順位はどうしても後回しになってしまいがちです。
そのため、入居者が今何歳なのかを把握できていない、ということも珍しくありません。
いざという時のために契約書に記載されている「緊急連絡先」や「連帯保証人」についても、
入居者が高齢化しているということは、そのご親族やご兄弟も同じく高齢になられていたり、すでに他界されていたりするケースが考えられます。
また、疎遠になっていて「関わりたくない」と連絡を断られてしまうこともあり、いざトラブルが起きたときに、連絡先として機能しないケースも少なくないようです。
管理会社としては、「もし頻繁に声をかけて、介護が必要な状態だとわかった場合、どこまで対応すべきなのか」という戸惑いが生まれるのも自然なことです。
責任の範囲がはっきりしないからこそ、下手に踏み込むことで思わぬトラブルに発展してしまうのではないか
そうした不安から、一歩を踏み出しにくくなってしまうのも無理はありません。
上記のよう入居中に高齢化した入居者が孤独死してしまったり、発見が遅れたりすることを防ぐためには、見守りサービスの導入が効果的です。
いきなり「見守りサービスを入れませんか」と声をかけると、「え、なんで急に?」「もしかして出て行けってこと?」と身構えられてしまうことが少なくありません。
一番受け入れてもらいやすいのは、契約更新のタイミングです。
更新の手続きの中に、「高齢入居者向けの安心サポートプラン」として自然に組み込んでしまうことで、「これも更新の一部なんだ」と受け止めてもらいやすくなります。
伝え方にも工夫が必要です。「管理会社が楽になるので」や「孤独死を防ぐために」といった表現は入居者へあまりいい印象がありません。
そうではなく、「今のお部屋に、これからも安心して住み続けていただくためのサポートです」という前向きな言葉で伝えるのがポイントです。
さらに、「離れて暮らすご家族も安心できるように、今回からこの仕組みを取り入れることになりました」等もお伝えすると、
入居者本人だけでなく、遠方のご家族からも好意的に受け取られやすく、同意もスムーズに得られる傾向があります。
見守りサービスのを導入するうえで必ず出てくるのか、費用をだれが負担するのかという話です。
物件やオーナーの考え方によって次の3パータンがあります。
◎入居者負担…更新時の特約として、あるいは管理費・共益費に「安心サポート費」として上乗せする形
高齢の入居者の中には、スマホをうまく使えない方や、自宅にWi-Fi環境そのものがない方も少なくありません。
それに加えて、カメラで見られることには多くの方が強い抵抗を感じます。「監視されている」という感覚に直結してしまうためです。
なので選ぶ際は、カメラを使わない、Wi-Fiが無くても動く(通信回線内蔵型)、そして普段の生活動作を変えなくても自然に検知してくれる——この3つを満たすタイプを選ぶのが、結果的に一番受け入れてもらいやすいです。
見守りサービスを導入することで、「第三者からの連絡で入居者のお部屋を訪れたら、倒れていた」といった事態を避けられ、
それに伴って発生する様々な対応に追われることもなくなります。
見守りサービスを導入すると、安否確認のために管理会社が毎日入居者に電話をかけたり、訪問したりする必要がなくなります。
システムが日常の生活動線(電球の点滅、電話への応答など)を見ていて、
「丸1日動きがない」といった異常があったときだけアラートが届く仕組みなので、日々の見守りにかかっていた手間を減らすことができます。
万が一、室内で孤独死が発生してしまった場合でも、見守りサービスがあれば異常に早く気づけます。
早く気づけた分だけ、特殊清掃の費用や室内のダメージも抑えやすくなります。
それによって、いわゆる「事故物件」としての告知義務の判断や、心理的瑕疵による家賃の減額といった、
オーナー側の資産への影響も抑えられます。管理会社としても、こうした後処理やオーナーへの説明に時間を取られにくくなります。
見守りサービスの中には、「孤独死保険(原状回復費用や家賃補償)」がセットになっているものもあります。
これがあると、万が一の際にオーナーに対して「清掃費用・リフォーム費用は最大〇〇万円まで補償されます」と伝えられるので、
説明の場での管理会社の立場も少し楽になりますし、オーナーとの間で揉めごとになりにくくなります。
賃貸管理会社が抱える「入居中の高齢化リスク」への対策として、多くの不動産会社様に選んでいただいているのが、
1991年から生活支援を続けているホームネットの見守りサービスです。
入居者のライフスタイルや物件の状況に合わせて、次の3つのタイプから選ぶことができます。
トイレや廊下など、毎日必ず使う場所の「電球」を専用のLED電球に交換するだけで、異常時の検知ができるサービスです。
監視カメラのような圧迫感がないので、入居者側に受け入れてもらいやすいタイプです。
一定時間「点灯がない」、または「点灯しっぱなし」の場合に異常として通知が届きます。電球自体にSIM(通信機能)が内蔵されているので、室内にWi-Fi環境がなくても、設置したその日から使えます。
「HNハローライト」について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://www.homenet-24.co.jp/service/mimamori/hellolight/
固定電話や携帯電話に、週2回、自動音声で体調を伺う電話をかけるサービスです。
入居者はプッシュボタンの操作(「元気です=1」「元気じゃないです=3」など)で答えるだけで、
健康状態を確認できます。連絡が取れなかった場合は、管理会社やご家族など事前に登録した連絡先にメールで通知されます。
機器の設置が不要なので、手軽に、低コストで始めやすいのが特徴です。
「見まもっTEL」について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://www.homenet-24.co.jp/service/mimamori/tel_plus/
スマートフォンやタブレットを使ったアプリ型の見守りです。
スマートフォンの画面ロックや充電などの操作状況を見ていて、一定時間操作がない場合に「異常」と判断します。
どのくらいの期間で判断するかは、1〜3日の範囲で利用者様側が設定できます。
入居者は、いつも通りスマートフォンを使うだけで見守りができる仕組みです。
アプリには見守り以外にエンディングノート機能も付いているので、入居者にとってもメリットのあるサービスです。
「GOOSE(グース)」について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://www.homenet-24.co.jp/service/mimamori/goose/
賃貸入居者の高齢化は、これから日本の不動産会社様全体が向き合っていくことになる、避けにくいテーマだと思います。
「まだうちの管理物件には関係ない」「トラブルが起きてから考えよう」と後回しにしていると、ある日突然の孤独死や、
それに伴うオーナー離れ、原状回復費用の対応といった負担が、まとめて降りかかってくることもあります。
契約更新のタイミングを活かして、丁寧に案内し、入居者に負担をかけない形で見守りサービスを導入しておくことで、管理現場の負担も減らしていけるはずです。
まずは、管理物件の中で高齢の入居者がどれくらいいらっしゃるかを把握することから始めて、
ホームネットのような専門事業者のノウハウも活用しながら、無理のない範囲で管理体制を整えていっていただければと思います。
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