
産業医だけでは支えきれない 中小企業に求められる新しい健康相談体制とは
健康経営への注目が高まるなか、多くの企業でさまざまな健康施策が導入されています。
例えば、
・健康診断データの管理
・ストレスチェック
・エンゲージメントサーベイ
・健康管理システム
・EAP(従業員支援プログラム)
・産業医面談
などです。
以前であれば、「従業員の状態が見えない」ことが課題でした。
しかし現在は、多くの企業でデータ取得や分析が可能になっています。
その一方で、健康経営担当者から最も多く聞かれる声は、「結果は出ているが、その後どうしたらいいのかわからない」というものです。
本記事では、健康経営担当者が直面している現実的な課題と、その背景にある構造的な問題について考察します。
経済産業省が推進する健康経営優良法人認定制度は年々認定法人数が増加しており、多くの企業が健康経営へ取り組むようになりました。
健康経営への関心が高まったことで、
・ストレスチェック
・健康管理SaaS
・エンゲージメント調査
といったサービス市場も拡大しています。
しかし企業の現場では、「施策は増えたが成果が見えない」という悩みも増えています。
その理由は、多くの施策が課題を発見することには優れている一方、課題を解決することまでは担っていないためです。
健康経営の議論で見落とされがちなのが、担当者自身の立場です。
大企業を除き、多くの企業では
・人事担当者
・総務担当者
・労務担当者
が兼務しています。
つまり、健康経営推進担当者の多くは、医師でも看護師でも心理職でもありません。
例えばストレスチェック結果を見て、高ストレス者が増えていたとしても、
担当者は
・何が原因か
・誰へどう声を掛けるべきか
・どこまで介入してよいか
を判断することが難しい場合があります。
結果として、データは取得しているが活用できないという状況が発生します。
ストレスチェック制度の本来の目的は、労働者自身の気付きを促し、メンタルヘルス不調を未然に防止することとされています。
しかし実際には、
・実施する
・結果を配布する
・集団分析を行う
まではできても、その後の運用が十分に行われないケースも少なくありません。
特に担当者を悩ませるのが、高ストレス者への対応です。
例えば、高ストレス判定者が20名いた場合、担当者は「面談案内は送った」ものの、実際に申し込みがあったのは数名のみ、ということもあります。
ここで問題になるのは、面談を受けなかった従業員ではなく、なぜ相談につながらなかったのかという視点です。
厚生労働省の「労働安全衛生調査」では、仕事や職業生活に関する強いストレスを感じる労働者が一定数存在していることが示されています。
しかし、強いストレスを抱えた人が必ず相談するわけではありません。
相談しない理由としては、
・忙しい
・まだ大丈夫だと思う
・社内には話しづらい
・誰に相談して良いかわからない
・周囲に知られたくない
などが考えられます。
つまり、企業が最も支援したい人ほど、相談窓口へたどり着かないことがあります。
健康経営施策が増えるにつれて、担当者が対応する業務も増えています。
例えば、
・ストレスチェック運営
・健康診断管理
・再検査勧奨
・産業医対応
・エンゲージメント分析
・ハラスメント相談
・休職復職対応
などです。
しかし、担当者の人数が大幅に増えている企業は多くありません。
その結果、施策は導入できても、継続的なフォローまで手が回らないという課題が生じます。
成果を出している企業に共通するのは、データ取得だけで終わらないことです。
実際には、
・気軽に相談できる窓口
・外部専門家との連携
・日常的な相談機会
・早期介入の仕組み
などを組み合わせています。
つまり、健康経営の成果を生むのは、データそのものではなく、データと支援をつなぐ運用体制なのです。
今後の健康経営担当者は、従業員を直接支援する人ではなく、必要な支援へつなぐコーディネーターの役割が重要になると考えられます。
そのためには、
・データ収集
・状況把握
・社内施策
・外部専門家
・相談窓口
を組み合わせた設計が必要になります。
健康経営の課題は、「何を測るか」から、「どう支援するか」へと移行しているのです。
健康経営施策は年々充実しています。
しかし多くの企業では、課題を把握する仕組みはあっても、改善へつなげる仕組みが不足しています。
健康経営担当者が本当に困っているのは、データがないことではなく、「見えた課題にどう対応するか」です。
健康経営を成果につなげるためには、測定だけで終わらせず、従業員が早期に相談できる環境や専門的な支援体制を整えることが欠かせません。
これからの健康経営では、データ取得と同じくらい、相談導線やフォロー体制の設計が重要になるでしょう。
健康経営施策を「実施」で終わらせず、「活用」「定着」「成果創出」へつなげたい企業様、また既存サービスへの付加価値追加を検討されている事業者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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