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高齢者見守り施策が止まりやすいのはなぜか ~制度設計よりも先に見直したい「運用のつまずきポイント」~

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高齢者見守り施策が止まりやすいのはなぜか ~制度設計よりも先に見直したい「運用のつまずきポイント」~

 


高齢者見守り施策は、多くの自治体にとって重要な政策テーマであり、訪問・地域ネットワーク・ICT・電話など、多様な取り組みが進められています。

背景には、単身高齢世帯の増加や地域のつながりの希薄化があり、見守りの必要性自体はすでに共通認識となっています。
実際、総務省の調査でも、高齢化の進行に伴い見守り活動の重要性は多くの自治体で認識されていると報告されています。

一方で、現場では以下のような課題が顕在化しています。
「導入したが運用(利用が少なく継続が危うい)が続かない」
「制度はあるが機能(利用が少ない、増えない)していない」
という問題です。

見守り施策は、制度設計やサービス選定段階では評価されやすい一方で、導入後の運用フェーズでつまずくケースが非常に多い施策でもあります。

本記事では、見守り施策が止まりやすくなる理由を、実際の自治体運用や現場資料をもとに整理します。 

 

目次

1. 例外運用が増えるほど施策は止まりやすくなる

見守り施策において最初に起こりやすいのが、「例外対応の積み重ねによる運用疲弊」です。
委託側(自治体)、受託側の双方にとって、運営・管理の面から負担が蓄積され、円滑な業務の実施が困難になる可能性があります。

実際、仕様にはないが軽微なイレギュラー対応であったため実施し継続され、いつの間にかレギュラー対応と認識されてしまったケースなどもございます。
このような小さなイレギュラー対応は重要な示唆を含んでいます。

現場で起きていること
・「利用者に配慮した柔軟対応」を増やす
・対応パターンが増える
・対応負荷が増える
・結果的に継続できなくなる

ポイント
見守り施策は「柔軟性」ではなく「標準化された運用ルール」こそが継続性を担保するといっても過言ではありません。

 

2. 本当の難しさは「つながらない時」にある

見守り施策は「連絡が取れる前提」で設計されがちですが、実務の中心はむしろその逆です。
連絡が取れない時にどう動くかが最大の設計ポイント

これまでの当社の事例を例に挙げると、つながらない時は以下のような段階的な対応を定義づけているケースが大半です。
・応答なし → 同日中に再コール
・翌日不通/折り返しなし → 緊急連絡先へ確認
・結果 → 自治体へ報告/対応連携

また、その他にも委託先(自治体)の意向に応じて、
・当日報告ルール
・翌営業日報告
・不在判定基準
など個別の対応を実施しているケースもございます。

ここでの本質
・見守りは「確認」ではなく、「判断と連携」の業務
・判断基準が曖昧だと、現場に負担が集中する
・結果として属人化・クレーム・対応遅延につながる

結論
見守り施策は「連絡が取れたとき」ではなく「取れないとき」で品質が決まる。

 

3. 説明不足は”利用されない施策”を生む

意外と見落とされがちなのが、利用者側の理解・心理的納得の設計です。

実務の中では以下のような声が実際に上がっています。
・「どこから電話がかかるのかわからない」
・「どういうときに連絡が来るのか不安」

また、自治体広報では「営業的に見える表現」「誤解される表現」を避ける必要があり、説明設計にも制約があることが確認されています。

起きている問題
・機能理解ではなく「不安」が利用ハードルになる
・説明不足 → 利用拒否・途中離脱
・説明コスト増 → 担当者負担増

結論
見守り施策は「提供するサービス」ではなく「納得してもらう仕組み」でもある

 

4. 単一手法ではなく”複層設計”がポイント

見守り施策は単体で完結するものではありません。
総務省の調査では、多様な主体による複層的な見守りの重要性が高まると整理されています。

また東京都のガイドブックでも
・ICT活用
・日常コミュニケーション
の両立が重要と記載されています。

また、具体的な事例では、
・週1~3回の電話による見守り
・24時間体制の相談窓口
といった複数手段を組み合わせ、安心をお届けする体制を構築しているケースもございます。

本質整理

手法 役割
ICT 異変検知
電話 状況把握、接点
訪問 実対応

重要なのは、「どの手法が良いか」ではなく「どう組み合わせるか」により利用者にとってより安心ができ、利用もしやすくなるため、施策の品質が大きく変わります。 

5. 孤独・孤立対策では「接点の継続」が最重要

見守り施策は単なる安否確認ではありません。
内閣府の調査では約4~5割の人が孤独を感じているとされています。

また政府の重点計画では
・見守り
・居場所づくり
・つながりの確保
が重要施策として位置づけられています。

ここから導けること
・見守りは「事故防止」だけではない
・日常的な接触が孤立予防になる
・会話は重要な情報取得手段

特に電話は「接点維持」と「状態把握」を同時に担える手段です。


6. まとめ

高齢者見守り施策が止まりやすくなる要因は、機能やサービスの問題ではなく、運用設計の問題であることが多いと整理できます。

主なつまずきポイント
・例外運用の増加による継続困難
・不在時対応の複雑化
・説明不足による利用低下
・単一手法への依存
・接点設計の不足

最も重要なポイント
見守り施策は「導入して終わり」ではなく「運用で差が出る施策」であり、”継続できる設計であるかどうか””現場で回るかどうか”が成否を分けます。


見守り施策の見直しにおいては、
・不在時対応フロー
・住民向け説明設計
・他施策との組み合わせ
・運用負荷の外部化
といった観点での整理が不可欠です。

当社では、自治体向けに電話による見守り運用および既存施策との組み合わせ設計支援を行っています。
・運用設計の見直し
・不在時対応フロー例
・導入検討に関する相談
・仕様書案の作成
などもご相談可能ですので、施策の新規検討や見直しをご検討の際はお気軽にご活用ください。

 


 




ホームネット株式会社

著者情報

ホームネット株式会社 田中 翔

不動産の売買営業と賃貸営業の経験を経て、ホームネット株式会社へ入社。
ホームネット株式会社では、
コールセンターサービスを中心に、高齢者様向けのサービス提供に従事し、
「住まい」を軸に、暮らしの安全・安心を支える生活支援サービスを提供しています。

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