
離職率が高止まりする理由 ~コールセンター業界とメンタルヘルス~
社員の不調を「個人の問題」として扱い続けた場合、企業側が負うリスクは小さくありません。
厚生労働省の調査では、仕事や職業生活に強いストレスを感じている労働者は約7割にのぼるとされています。
また、メンタルヘルス不調により休職・退職者が発生した事業所は1割を超えています。
注目すべきは、企業の法的責任です。
労働契約法第5条では、企業に「安全配慮義務」が課されており、これは身体的な安全だけでなく心身の健康への配慮も含まれると解釈されています。
不調の兆候を把握できた可能性があるにもかかわらず、対応を怠った場合、
・労災認定
・安全配慮義務違反
・損害賠償請求
といったリスクに発展する可能性も否定できません。
厚生労働省は、職場のメンタルヘルス対策として「4つのケア」を示しています。
・セルフケア(本人による気づき・対処)
・ラインによるケア(上司・管理職の役割)
・事業場内産業保健スタッフによるケア
・事業場外資源によるケア(外部相談・専門家)
ポイントは、セルフケアだけに依存しない構造をつくることです。
とくに5月病のように本人が「まだ大丈夫」と思いがちな状態では、上司や第三者の視点が不可欠になります。
5月病対策は、大掛かりな制度改定から始める必要はありません。重要なのは「早期・軽度・継続的」な関与です。
・短時間の1on1・声かけ
業務進捗ではなく、体調や気分に焦点を当てる
・不調サインの言語化・共有
勤怠の乱れ、ミス増加、表情や反応の変化
・相談先の明確化
「困ったときは誰に相談できるのか」を明示
・外部相談窓口の活用
社内で話しづらい悩みを受け止める選択肢を用意する
とくに中小企業では、産業医や人事リソースが限定的なことも多く、外部支援の活用は現実的な解決策となります。
5月病は、一部の社員だけが抱える特殊な問題ではありません。
環境変化が集中するこの時期は、組織としてのケア体制が試されるタイミングでもあります。
「本人任せ」で終わらせるか、「組織として支える仕組み」に変えるか。
その選択は、離職率・生産性・企業リスクに確実に影響します。
当社では、
・社員が不調になる前に相談できる外部相談窓口の整備支援
・管理職が迷わず対応できる運用設計・フォロー体制構築
を通じて、企業のメンタルヘルス対策を支援しています。
「5月だからこそ」できる見直しがあります。
社員の不調を個人任せにしない一歩を、今年から踏み出してみませんか。
【出典・参考資料】
厚生労働省「職場における心の健康づくり 〜労働者の心の健康の保持増進のための指針〜」
厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策」
厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
厚生労働省 「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」(仕事や職業生活におけるストレス状況)
労働契約法(第5条 安全配慮義務)

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