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クレーム・カスハラ・人手不足 ~サービス業におけるメンタルヘルスの盲点~

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クレーム・カスハラ・人手不足 ~サービス業におけるメンタルヘルスの盲点~

 

「現場で起きている負担」を見える化し、離職・休職の連鎖を防ぐために

サービス業(小売・飲食・宿泊・運輸・コールセンター等の対人業務)では、日々の業務の中心が「人と向き合うこと」になります。

お客様の満足を高めるための工夫が求められる一方で、現場ではクレーム対応や過度な要求、暴言・威圧的言動など、従業員の心身に負荷がかかる場面も少なくありません。
近年、この“見えにくい負担”が休職・離職に波及し、結果として人手不足がさらに深刻化するーという悪循環が起きやすい環境になっています。

この記事では、発生する負担に対し講じるべき対策について整理、まとめています。
 

1. 「カスハラ」が労災認定の評価項目に追加された背景

厚生労働省は2023年9月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、評価表の具体的出来事として「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加したことを公表しています。

これは、顧客対応の現場で起きる強い心理的負荷が、企業・働き手双方にとって重要なリスクとして位置づけられていることを示しています。

さらに、厚生労働省の「令和6年度『過労死等の労災補償状況』」では、精神障害の支給決定件数(業務災害)が1,055件であること、また出来事別の上位として「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」108件が挙げられています。

サービス業の現場での顧客対応が、単なる「大変さ」に留まらず、制度上もリスクとして可視化されてきている点は押さえておきたいポイントです。

 

2. 対人サービスは「感情労働」になりやすい

対人サービス業務では、自分の感情をコントロールし、相手に合わせた言葉や態度で対応することが求められるため、「感情労働」として捉えられるとされています。

この“感情を抑え続ける働き方”は、身体的な疲労とは別のかたちで蓄積しやすく、燃え尽き(バーンアウト)や抑うつなどにつながる可能性が指摘されています。

とくに小売・飲食・宿泊のように、お客様対応が連続する職場では「切り替えの時間」が確保しにくく、ピーク時間帯の連続勤務や欠員カバーが重なると、負担が一気に高まりやすいのが実情です。

 

3. ”相談できないまま”進行するリスク

メンタル不調が深刻化する前に気づけない理由の一つに、「相談が専門家につながりにくい」ことがあります。

厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」の紹介では、強いストレスを感じる労働者の割合は68.3%で、ストレス要因として「仕事の量」が最も多いとされています。
一方で、相談先は「家族・友人」「上司」など身近な相手が中心となり、外部の専門職への相談は多くない傾向が示されています。

サービス業の現場では、「忙しい時に相談しづらい」「同僚も同じ状況で言い出しにくい」「職場に迷惑をかけたくない」などの心理が働きやすく、結果として休職・退職という形で初めて表面化するケースも起こり得ます。

 

4. 企業として”現場任せにしない”ための考え方

ここからは、対策を押し付けるのではなく、現場の負担を増やしにくい形で整えやすい「基本の考え方」を整理します。

まず「カスハラの線引き」と対応方針を決める

政府広報オンラインでは、カスハラを「社会通念上許容される範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されるもの」とする定義や、典型例(精神的攻撃、威圧的言動、継続的・執拗な言動、拘束的な言動など)を紹介しています。

また、厚生労働省資料では、カスハラ対策として、方針の明確化・周知、相談体制の整備、事後対応、抑止のための措置などを示しています。

現場が迷わず動けるように、「どこからがカスハラで、どう対応するか」を会社として言語化しておくことが、従業員保護の第一歩になります。

「一人で対応させない」設計にする

飲食店向けのガイドラインでも、カスハラに発展しないための準備や、発生時に一人で対応させず組織で対応する旨が示されています。

現場では“その場の判断”が増えるほど疲弊しやすいため、エスカレーションのルールや責任者同席の基準など、迷いを減らす仕組みが重要です。

相談導線を複線化して「早めに受け止める」

相談が上司や身近な相手に偏りやすい傾向がある以上、職場内だけで完結させず、必要に応じて外部も含めた「複線」を持つことで、早期に支援につながりやすくなります。
“今すぐ休むほどではないが、少しつらい”段階で受け止められる窓口は、結果的に休職・離職のリスク低減につながる可能性があります。 

 

5. まとめ:サービス業のメンタル課題は「現場の努力」だけでは解けない

サービス業のメンタルヘルス課題は、本人の頑張りや現場の工夫だけで解決しにくいテーマです。

カスハラが労災認定基準の評価項目に追加されたことや、労災補償状況で「顧客等からの著しい迷惑行為」が出来事別上位に挙げられていることは、企業として備える必要性を示唆しています。

現場の負担が増えるほど離職が起きやすくなり、離職が起きるほど残った人の負担が増える——。
この連鎖を止めるためには、線引きの明確化・組織対応・相談導線の整備を、会社の仕組みとして整えていくことが重要になってきます。



【出典・参考資料】

厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」
厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況』」
厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」
政府広報オンライン「カスハラとは?…対策の内容等」
厚生労働省資料(カスハラ対策の義務化に関する説明)
農林水産省「飲食店のためのカスタマーハラスメント対策ガイドライン」


弊社サービスについて詳しくは、下記ページをご確認ください。
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著者情報

ホームネット株式会社 田中 翔

不動産の売買営業と賃貸営業の経験を経て、ホームネット株式会社へ入社。
ホームネット株式会社では、
コールセンターサービスを中心に、高齢者様向けのサービス提供に従事し、
「住まい」を軸に、暮らしの安全・安心を支える生活支援サービスを提供しています。

 

 

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