
コールセンター業務における「ガイドライン」の重要性と対策について
近年、テレワークやスマートフォンの普及により、勤務時間外でも業務連絡が届くことが当たり前になりつつあり、従業員の私生活と仕事の境界が曖昧に・・・。
心当たりがある方も多いのではないでしょうか。その結果、心身の不調や離職リスクの増加が社会問題となっています。
このような背景もあり、2026年の労働基準法改正において「つながらない権利」という権利に関するガイドライン策定が検討されたことはご存じでしょうか。
この記事では、今後の法制化を見据え、企業が取るべき対応について解説してみましたので参考にしてみてください。
勤務時間外や休日に、従業員が業務連絡(メール・電話・チャット等)への対応を拒否できる権利を指します。
たとえば、こんな経験ありませんか?
・有給/長期休暇中も、定期的にPCを立ち上げて受信メールをチェック。対応すべき連絡が来るのではないかとドキドキ。
・週末、家族と食事をしている最中に取引先から携帯電話に着信が・・・。
・夜10時を過ぎてから、取引先との急なトラブル対応を求める電話が鳴った。
こうした「勤務時間外の業務連絡」は、現代の働き方において珍しいことではありません。
スマートフォンやチャットツールの普及により、物理的に職場を離れても、いつでもどこでも「つながっている」状態が当たり前になりつつあります。
「つながらない権利」とは、こうした勤務時間外や休日に、従業員が業務に関する連絡(メール・電話・チャットなど)への対応を拒否できる権利を意味します。
つまり、「仕事が終わった後は仕事から解放される」という、仕事とプライベートのON/OFFをしっかりつけ、働く人の心身の健康と私生活を守るための考え方です。
従業員のワークライフバランスを確保するための考え方として、フランスやドイツなど欧州諸国で法制化が進んでおり、日本でも2024年以降、厚生労働省の研究会などで制度化の議論が行われてきました。
2026年1月現在、法制化には至っていませんが、企業の働き方改革の一環として注目が高まっています。
従業員のメンタルヘルス向上
勤務時間外の業務から解放されることで、心身のリフレッシュが可能に。
いつ鳴るか分からない電話・・・気が休みません。
離職率の低下
プライベートの時間が守られることで、従業員満足度が向上し、定着率の改善が見込まれる。
生産性の向上
十分な休息が得られることで、勤務時間中の集中力やパフォーマンスが向上。
企業イメージの向上
働きやすい職場環境を整備することで、採用活動にも好影響。
2026年1月時点では、「つながらない権利」は法的義務ではなく、厚生労働省によるガイドライン策定が検討されていた段階です。
そのため、企業に対する直接的な罰則は存在しませんが、以下のようなリスクがあることは予め把握しておく必要があります。
未払い残業代の発生
勤務時間外の連絡が実質的な業務と見なされる場合、残業代の支払い義務が生じる可能性があります。
パワーハラスメントの認定
上司からの時間外連絡が常態化している場合、精神的圧力と判断されることもあります。
従業員の不満・離職
制度が整備されていないことで、従業員の不満が蓄積し、離職につながる恐れがあります。
法制化の有無にかかわらず、企業としては以下のような対応が推奨されます。
就業規則の見直し
勤務時間外の業務連絡に関するルールを明文化し、緊急時の対応範囲も明確に定義します。
管理職への教育
就業規則に基づき、上司が時間外に連絡を控えるよう、マネジメント研修などで意識改革を促します。
ITツールの設定変更
チャットやメールの通知を勤務時間外に制限する設定を導入することで、物理的に「つながらない」環境を整えます。
従業員への周知と相談窓口の設置
制度の趣旨と運用ルールを全社員に周知し、違反があった場合の相談窓口を設けることも重要です。
この問いに対する答えは、「結論から言えば、割増賃金を支払えば法抵触は避けられるが、メンタルヘルス対策やパワハラ防止の観点では根本的な解決にはならず。」です。
労働基準法では、1日8時間・週40時間を超える労働には、36協定の締結と割増賃金の支払いが必要とされています。
また、時間外の業務連絡が「業務命令」として実質的に労働を強いるものであれば、それは労働時間と見なされ、企業には賃金支払い義務が生じます。
つまり、企業が適切な手当や残業代を支払っていれば、時間外の業務連絡を依頼すること自体は違法ではありません。
ただし、これはあくまで「法的に可能」というだけで、実務上は以下のような注意点があります。
健康被害とパワハラの懸念
手当てを支払っていても、頻繁な時間外連絡が従業員の私生活を侵害する場合、労働安全衛生法やパワーハラスメント防止法の観点から問題となる可能性があります。
「任意」の限界
「任意で対応してもらう」としていても、実際には断りづらい雰囲気がある場合、それは強制と見なされ、労働時間と判断されるリスクがあります。

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