
クレーム対応は初動で決まる ―苦情を“企業への不満”で終わらせるか、“信頼獲得の機会”に変えるか―
不動産管理会社にとって、管理戸数の増加は事業成長の証でもあります。
しかし一方で、
・電話が鳴りやまない
・担当者が常に問い合わせ対応に追われる
・残業が増える
・人が定着しない
といった課題を抱える企業も少なくありません。
管理戸数が増えれば問い合わせ件数が増えるのは当然です。しかし、同じ管理戸数規模であっても、担当者が疲弊する会社と安定した運営を実現している会社が存在します。
その違いは、必ずしも人員数や組織規模ではありません。
実は、管理戸数の増加によって苦しくなる会社には、ある共通点があります。それは、問い合わせ対応の仕組みや受付導線が十分に整理されていないことです。
本記事では、管理戸数の増加とともに業務負荷が高まる背景を整理しながら、人を増やす前に見直したい「問い合わせ導線」の重要性について解説します。
例えば、管理戸数が1,000戸から2,000戸になれば、問い合わせ件数も増加します。
それ自体は自然なことです。
問題は、その問い合わせがすべて担当者へ直接流れているケースです。
よくある問い合わせ
・水漏れ
・鍵の紛失
・設備故障
・共用部の不具合
・更新手続き
・契約内容確認
・駐車場の問い合わせ
・ゴミ出しルール確認
これらは内容も緊急度も様々です。
しかし、「とりあえず担当者へ電話」という運用になっている会社では、重要度に関係なくすべての電話が現場へ集中します。
その結果、本来優先すべき業務が中断されることになります。
管理会社の担当者が忙しい理由は、必ずしも仕事量が多いからではありません。
実際には、業務中断が多すぎることが問題になっているケースが少なくありません。
例えば、
・外出中の電話
・移動中の電話
・会議中の着信
・休日の連絡
・夜間の設備トラブル
これらが繰り返されることで、一つひとつの業務の効率が低下します。
メール作成中に電話。
業者手配中に別の問い合わせ。
契約更新業務中に設備トラブル。
この状態では、担当者がいくら優秀でも処理能力には限界があります。
管理戸数が増えるほど苦しくなる会社は、問い合わせ件数そのものよりも、問い合わせによる業務中断が増えているのです。
問い合わせ件数が増えた際、多くの企業は採用を考えます。
しかし、
・採用難
・教育コスト
・人件費上昇
といった課題があります。
さらに、問い合わせ導線が整理されていない状態で人だけ増やした場合、問い合わせの集中先が増えるだけで根本的な解決になりません。
担当者が3名から5名になっても、
・誰が対応するか分からない
・同じ内容を何度も確認する
・引き継ぎが発生する
・情報共有に時間がかかる
という問題は残ります。
これは水漏れしているバケツに水を足しているようなものです。
まずは漏れている箇所を見直す必要があります。
管理会社における問い合わせ業務は、「誰が電話に出るか」ではなく「どの問い合わせを、どこで受けるか」が重要です。
例えば、
レベル1:一次受付
・名前確認
・連絡先確認
・物件確認
・内容確認
レベル2:振り分け
・緊急案件
・設備案件
・契約案件
・一般問い合わせ
レベル3:担当差配
・管理担当
・設備担当
・協力会社
・緊急対応業者
このように段階的な受付体制を構築することで、担当者が直接受ける問い合わせを大幅に減らすことができます。
近年、多くの管理会社で課題となっているのが夜間・休日対応です。
入居者からすれば、
・土曜日の水漏れ
・日曜日の鍵紛失
・深夜の設備故障
は平日か休日か関係ありません。
一方で管理会社側は、
・当番制
・携帯転送
・個人対応
に頼るケースも多くあります。
しかし、この運用は属人化を招きやすく、担当者の負担増加にもつながります。
管理戸数が増えるほど、この問題はさらに顕在化します。
だからこそ、一次受付を分離し、必要な案件だけを担当者に連携する体制が重要になります。
管理戸数拡大を続けている企業の多くは、人を増やす前に仕組みを整備しています。
具体的には、
・問い合わせ内容の分類
・受付フローの標準化
・緊急・非緊急の切り分け
・業者手配ルールの統一
・一次受付の集約
などです。
これにより、同じ管理戸数でも
・担当者1人あたりの負荷
・対応品質
・顧客満足度
に大きな差が生まれます。
管理戸数が増えるほど苦しくなる会社には共通点があります。
それは、問い合わせを担当者個人の頑張りで処理していることです。
もちろん人員増強は重要です。
しかし、問い合わせ導線が整理されていない状態では、いくら人を増やしても根本的な解決にはなりません。
これからの不動産管理業界では、「何人で管理するか」ではなく、「どのような仕組みで管理するか」が競争力を左右する時代になっています。
管理戸数の増加を成長につなげるためには、まず問い合わせの流れを可視化し、適切な振り分けと受付体制を整備することが重要です。
人を増やす前に、問い合わせ導線を見直してみてはいかがでしょうか。
【出典元】
・国土交通省「令和5年度マンション総合調査」
・公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 各種調査資料
・一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会(全宅管理)公表資料
・不動産管理業界における業務効率化・DX推進関連資料(国土交通省)
弊社サービスについて詳しくは、下記ページをご確認ください。
最新記事
アーカイブ
INQUIRY